ホリゾンタルからバーティカルSaaS(※)への進化
※バーティカルSaaS(特定の業界に特化し、機能・サービスを提供するSaaS)


新しい分野のビジネスにおいて、ホリゾンタルSaaSで一定の市場ができたとき、特定業界の特定データを可視化して新たなインサイトを出そう、という動きが生まれます。特定業界のデータというのに特殊性があったり、他のホリゾンタルにないデータを保有していたり。
セールスエンゲージメントにおいて、アメリカには金融業界に特化したセールスエンゲージメントツールもあります。また、UPWARDに関しては日本の大手企業や製造業向けに、位置情報を活用して訪問した場所のデータなども自動で取り込むことによって、通常のCRMにはない新たなインプットとインサイトを出せるというような特徴があります。
セールスエンゲージメントに限らずCRMでも何でも、ホリゾンタルから “縦”に行く、バーティカルが出る流れはよくあるカタチです。
UPWARDはこうした流れの中で、セールスエンゲージメント市場の代表的な位置にいるのかな、と思います。
テクノロジーでセールスエンゲージメントを実現

日本のお客様が抱えているのは、データエントリーやデータコレクションに関する課題です。ありがちなのは、データを完全に入れているけど、全てテキストで入っている、というもの。それらをExcelでダウンロードして集計して成形して、スコアリングもそのシートをもとに手動で行なっていたり…。もちろん一部、自動化できているところもありますが、圧倒的に足りていないので、これらのデータコレクションを簡単にするというのが、我々のコンセプトです。
また、顧客接点のデータがCRM情報と紐づくというのも大事です。データが紐づいて、地理的な可視化ができたり、現場でのインサイトを提供するというところが最重要で、この循環がまさにセールスエンゲージメントですし、テクノロジーの価値を発揮する部分かな、と考えています。
テクノロジーの活用における日本と海外の違い

日本が欧米と比べ、なぜ営業DXのハードルが高いのかというと、日本の方が営業現場の裁量が大きいという点があります。サラリーマンがセールスレップ(営業の専門職)として働いて、ある程度ノルマをこなして、日報を書く、みたいなところのコントロールが効いていない。書かないと怒られるものの、システムに入力する、しない、という部分が給料には反映されない、みたいなところがあるのではないかと。
アメリカは営業の代理店も多いと思いますが、個々人の活動についてはきちんと記録し、成果として報告しなさい、というCRMをベースにした考え方ですよね。

金木さんの仰る通り、リテラシーの低さと成果報酬が要因かなと。アメリカと比べると、やはりITリテラシーに課題がありますね。特にシニア世代になると、入社時の環境と全く異なるので、「自分がテクノロジーやデータを活用して競合や競争相手に勝ち抜くんだ」という文化がない。上司からも、データを活用するためのステップとして「データを入れていない人は成果が見えないから報酬を支払えないよ」というコミュニケーションや仕組みによる強制力がない。
アメリカの場合はセールスレップがITを使いこなせないも何も、「使わないと自分の力を証明できないし、出し抜けない。相手にも勝てない。」というところに、違いがあるのかな。


プロの営業、売ることに特化した人たちも、全体数としては少ないですよね。純粋に営業業務のみの人がいない、営業で売るという仕事の中に、保守やサポートも含まれてしまう。

プロフェッショナルの考え方として、その役割に特化して突出している、売れる人材だから、次の会社にヘッドハントされて…みたいな文化がアメリカにはありますが、日本の場合はジェネラリストと表現されるような存在ですよね。決してどちらかが良い、悪いではないですが、使われ方に違いはあるのかなと思います。