営業におけるKPIとは
KPIとは、「Key Performance Indicator(重要業績評価指標)」の頭文字を取った言葉です。
目標に対する達成度を示す指標で、営業セクションだけで使われる指標ではなく、企業経営から製造現場、広くは政策に至るまで、さまざまな場面で活用されています。
営業に当てはめた場合では、目標に対して「新規契約数」や「売上高」などを設定することが多いです。たとえば、「今月は、新規契約を10件取るために、200件の新規飛び込みをしよう」「来月は、売上100万円アップを達成するために、月の前半に5社へアップセルの提案をしよう」といった形でKPIが定められます。
つまり、KPIは目標を達成するための“現状”と“目標”の中間にあるプロセス指標です。
KPIを設定することで、最終的に目標を達成するために、「いつ」「どんな行動」を、「どれだけ」の量で実行すればよいのかが明らかになり、営業活動の進捗が把握しやすくなります。未来の予測も根拠をもって立てやすくなります。
また、生産性の向上や、効率化の改善をするために施行するPDCAも回しやすくなるでしょう。
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KPIとKGIの違い
KPIと似たような言葉に、KGIというものがあります。KGIは、「Key Performance Indicator(重要業績評価指標)」の略です。
KGIは、企業やチームが目的に向かって行動する際、どれだけ目標を達成しているかを測るために用います。たとえば、「20%の収益アップ」という目標を掲げたなら、その最終的な目標の達成度合いを定量的に表すのがKGIです。
KGIは、しばしばKPIと混同されますが、それぞれ役割が異なります。
KGIとKPIの違いは、「ゴール」と「プロセス」のどちらを表す指標であるかです。もう少し詳しく説明すると、KGIが最終目標の達成度合いを表す指標であるのに対し、KPIはその最終目標を達成するために必要なプロセスの進捗度合いを表す指標となります。
KGIとKPIはセットで使われることが多く、どちらも目標達成のために欠かせない指標です。最初にKGIで「ゴール」を設定し、そこにたどり着くための「プロセス」としてKPIを設定します。
「ゴール」=KGIの設定だけでは、具体的な行動の評価ができませんし、「プロセス」=KPIの設定だけでは、どれだけ目標を達成できたのかがわかりません。KGIとKPIの両方を設定することにより、目標達成に係る活動の「見える化」がしやすくなります。
適切なKPIを設定するために、KPIとKGIの違いを正しく理解しておきましょう。
適切なKPIの設定方法
目標(KGI)を設定する
では、どのようなプロセスを経て、KPIを抽出して設定することが望ましいのでしょうか。
みなさんもお分かりとはお思いますが、営業セクションといっても、企業はそれぞれの組織構造を持っています。ですから、自社に合ったKPIの設定は他社の模倣というわけにはいきません。当然、組織構造の変化や組織の役割の変更に伴って、柔軟に設定していくことも求められます。
とお話しすると、なんかとても難解な作業のように聞こえてしまうかもしれませんが、そんなことはありません。ご安心ください。
どこの企業でも“模索する時期”を経て、自社に合ったKPIを設定するものです。そして、これから話す「KPI設定のコツ」をつかんでしまえば、誰でもできるようになります。
適切なKPIを設定するために、まず必要なのが“目標の設定”です。すでにお話をしたように、“KPI”はあくまでも、最終目標を達成するための中間指標となります。
実は、多くの企業でKPI設定の初期に見られるのが、「KPIの達成」そのものが目的化してしまうという現象です。メンバーを含めた組織全体の意識が、KPIを達成することだけに向いてしまい、KPIの設定事態が目的となってしまいます。
これでは本末転倒ですね。このように客観的に聞くと、その“間違い”が冷静に理解できるのですが、自社で実施すると意外と気づかないものです。このようなケースは決して珍しいものではなく、多くの企業で起こっています。
このような事態を防ぐためには、「何のためにKPIを設定するのか」 「上位目標としてのKGI(Key Goal Indicator/重要目標達成指標)を設定するのか“」を明確にし、正しい設定をしていきましょう。
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自社の営業プロセスを分析する
一般的に、営業が使用するKPIには、以下のような項目を設定することが多いです。
・アタック件数(コンタクト数)
・訪問件数(商談数)
・見積書提出件数
・成約件数
・平均受注額
しかし、どの企業にもこれらのKPIが当てはまるかと言えば、そうではありません。適切な営業のKPIが何なのかは、企業・組織・営業の活動ごとに異なります。
では、目標とするKPIを何にすればよいのか?という話になりますが、他社例を模倣するのではなく、自社にとって最適なKPIは何かを組織全体で考え抜くことが大切です。
次項では、実際のKPI設定のステップを解説していきます。営業プロセスを分析し、その上で、KGIとの連携を持ったKPIを設定するステップとは、どのようなものでしょうか。
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営業担当者が活動によって、コントロールできる指標を設定する
当然のことですが、営業を行う個人がその営業活動によってコントロールできない不変の指標を、KPIに設定しても意味はありません。
極端な例でいえば、リード獲得における「インバウンドでのリードジェネレーション」の施策を他の部門が行っている状況で、インバウンドの対応件数を営業セクションのKPIに置くという具合です。
営業の個人がコントロールできない指標をKPIとした場合、達成した際も未達成であった際も、そもそも営業がその活動の中でKPIに対して変化を起こせないので、要因を分析することも、改善を行うことも出来ません。
KPIを、人事評価の主軸に据えて活用しているケースもあるようですが、KPIのみを使用した人事制度はその運用の仕方を誤ると、かえって評価される側のモチベーションを低下させることにもつながります。
KPIだけではなく、“定性的な指標”やKGIとはあまり相関性のない業務であっても、間接的に組織の底上げをできる業務や、顧客との関係性が強くなる業務、中期的な視野で効果の高い業務も考慮する必要があります。その上で、正当な評価ができるバランスの取れた仕組みの中に、KPIを組み入れることが大切です。
シンプルでブレずに計測できる指標にする
KPIを設定しても、「顧客の感触」といった定量的で数値での可視化や計測が難しいものは、営業個人のそれぞれの感覚によって、評価や採点がブレる可能性が高くなります。このような指標は、KPIとしてふさわしくありません。
たとえば、「もうひと押しで発注してくれそうだから>>A」といったような、営業個人の主観によって内容が変わるものは避けてください。正確な計測が難しくなるだけでなく、状況をよく見せるために湾曲した成果が記録されてしまうといった懸念もでてきます。
KPIを設置する際は、営業担当者個人の主観に寄るものではなく、シンプルでブレずに計測できる客観的な評価を指標にしましょう。
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