営業DXで使うことのできるITツールとは? 営業DXで使うことのできるITツールを「セールステック 」と呼びますが、これは「Sales」+「Technology」を組み合わせた造語 で、オンライン会議の普及や働き方改革における業務効率化など、営業活動に関する様々な業務の効率化 を助けるものです。
(セールステックを可視化したカオスマップ2020。株式会社インターパークのプレスリリース より引用) オンライン上で気軽にメッセージのやり取りができるSlack、Teamsなどのコミュニケーションツールや、ビデオ会議などのオンライン商談システムなどは、大手企業を中心に既に多くの企業で導入されており、DXをさらに推進するための次のステップ として経営者層を中心に注目されているのが「SFA」 になります。
「競合他社はSFAを導入して売上を上げたらしい」 「SFAの導入で営業活動が効率化され、営業担当者の生産性が上がるらしい」
そんな情報を耳にして、部下に情報収集させたり、IT比較サイトへ問い合わせを行なったりする方は年々増加しています。オンライン商談ツールなどよりも、「売上向上」「生産性UP」などの「費用対効果」が期待されているSFA ですが、なぜ、数あるセールステックの中で、SFAであれば売上向上が見込める のでしょうか。
そもそも「SFA(営業支援システム)」とは? そもそもSFAとは、「Sales Force Automation」 の頭文字を取った名称です。日本語では「営業支援システム」 や「営業管理ツール 」と訳されます。SFAは、営業活動の記録、進捗状況、顧客情報の管理など、営業活動にかかる業務を支援します。自社の営業組織を強化・効率化するために導入するシステムのひとつで、ITシステムによる徹底した営業支援を行うこと が目的となります。それと同時に、営業部員の商談プロセス や営業プロジェクトの進捗状況 を「見える化」して管理する のも、SFAの役割です。
SFAの役割のひとつは、営業活動を「見える化」すること まず、現場の営業活動が見えない と、マネジメント も感覚に頼った“闇雲”なもの になってしまいますし、正しいアドバイスや評価ができません。さらに、営業マンが個人の手帳 などに顧客情報を書き込んでしまうと、情報漏洩におけるセキュリティ も危うくなりますし、情報が共有されづらいことで、営業マンによって持っている情報やノウハウに差が生まれ、営業活動が属人化してしまいます 。 「現場の活動がリモートワークで分からなくなった」「引き継ぎに何か月もかかってしまうので柔軟な配置転換ができない」「社員の世代交代が進んでいるのに、若者にスキルやノウハウが伝承されない」 こうした状況を改善するには、社内で情報やノウハウを共有できるSFA が役立ちます。 よく日系企業では、Excelやスプレッドシートでこうした営業活動の管理を行なっていますが、Excelとの違いは、「情報共有のしやすさ」にあります。Excelはファイルごとに管理をするため同時編集や共有が難しいですが、SFAは共通したシステムを使って情報を管理するので、情報共有や報告業務が捗ります。 営業活動を「見える化」 し、情報共有 やコミュニケーション をスムーズにすることで、営業部門の生産性 や効率性 を向上させることが可能となります。営業部門全体をパフォーマンスをアップさせる のが、SFAの役割のひとつです。
SFAで成果を出せるパターン、出せないパターン SFAには様々な可能性がありますが、あくまでもSFA自体はただの「システム」に過ぎません。他社で聞く導入事例のように大きな成果を挙げられるか否かは、「このSFAの中にどんな情報を入れるのか」「SFAをどんな目的で、どう活用するのか」 にかかっています。 ここで、SFAが効果的なパターンと、そうではないITツールの方が適しているパターンをご紹介します。
SFAが効果的なユースケース①:「いま全く営業情報を貯めていない / Excelなどで管理している」 SFAを導入している企業から見ると、商談や営業活動の記録が出来ていない状態というのは、「お宝を眠らせている状態」 です。営業活動で得られる「顧客接点の記録」、いわゆるお客様とのやりとりの履歴というものは、成約に紐づかない場合においても全てが“自社だけの勝ちパターン”を見出すための重要なデータ です。 どこの企業も、全く同じ営業マンがロボットのように活動している訳ではありません。各企業で働くユニークな営業マンが一人一人、お客様と日々コミュニケーションを 取っています。これらの活動を定型化・標準化して記録し、定量的に蓄積して分析すること は、自社だけにしかない特性 や勝ちパターン を確実に見出していくことに繋がります。 「そもそも記録していない」という企業はもちろんのこと、営業マンにExcelや日報 などで報告をさせていたとしても、その情報が正しくなければ / 定量的に分析可能な状態でなければ 同じく意味がありません。SFAは「現場から情報を集めること」に特化したツール ですので、ここを自動化したり簡単にすることで、現場の負荷なく正しい情報を収集し、情報の分析 を可能にします。
SFAが効果的なユースケース②:「似たような製品・サービスを提供している競合他社がいる」 こちらはユースケース①とも関連しますが、昨今の市場では「機能」「性能」で大きく差別化ができるサービスや製品というものは少なくなっています 。例えば一口に電子決済サービスと言ってもPayPayやメルペイ、楽天Payなど様々なサービスがありますし、ハイブリッド車といってもあらゆるメーカーの製品が思い浮かびます。 そんな中で、自社の製品・サービスの優位性を高めるために効果的 なのがSFA の存在です。SFAは商談の記録 をため続けられるだけではなく、次のステップのための示唆 を与えてくれます。例えば、「この企業は前回取引があったのに、しばらく訪問や電話をしないうちに競合に乗り換えられてしまった」 といったことも、SFAで活動の履歴を記録していれば未然に防げた可能性 があります。 営業マン は成績を上げるために、どうしても問い合わせがあったところ/仲の良い企業 などにアプローチしてしまい、総合的な会社の戦略などを考えて1社1社アプローチ先を決めたり することは中々できません。そこで、SFAで商談や取引、現場活動の管理をすることで、最適なタイミングでのコミュニケーション を行なうことができるようになり、売上の向上 や顧客満足度のUP につながります。
SFAの効果が限定的になってしまうユースケース:「オンラインで商談がすべて完結できる/営業マンに高いスキルがある」 こうして効果を挙げてみると、一見万能なように見えるSFAですが、効果的ではないユースケース も存在します。それは確実に差別化されたサービスなどで「オンラインで商談が完結してしまう」 場合と、高額商材や外商など「営業マンに属人化された個人のスキル・ノウハウだけが結果につながる」 場合です。 まず、オンラインで商談が完結してしまうものである場合は、SFAでの分析よりも先にBIツール など「オンラインでの活動結果」を可視化 し、効率化 してくれるツールの方が適しています。「放っておいても売れる状態」「問い合わせに効率的に対応できる状態」 にしておくためにMA(マーケティングオートメーション) などでファーストコンタクトを自動化 しておいたり、ホームページのチャットサポートを充実 させたりした方が、SFAで活動を管理するよりも効果が出るはずです。 また、高額商材・特別な商材を扱っている などのパターンも同様です。「有名なデザイナーがいて、その人からじゃないと買わないお客様がいる」 とか、「取り扱い商材が高額・無形物で営業マンに高いスキルが求められ、一度の取引で非常に大きな金額が動く」 など、そもそも“営業が属人化していること”が問題ではなくセールスポイントである場合 も、SFA導入の優先順位は低くなります。
SFAはあくまでも「差別化しづらい」「今の営業活動のままではリソースが足りない」といったお悩みの解決に向いたツール です。反対に、そうしたお悩みを抱えている企業の場合、確実にSFAは効果を示してくれることになります。