事例のイメージ画像
インタビュー

「砂漠の緑化」でモチベーションをつくる新しい活動管理スタイルに進化。 1年後には5.5倍の売上実績に

企業名

ダイハツ工業株式会社

業種

製造

企業規模

5,001名~

課題

現場のモチベーションアップ
脱属人化・再現性UP
ペーパーレス化
人材育成・ノウハウ共有
社内のデータ連携強化

活用分野

全国の介護施設や事業所に対して、自社の介護車両を提案する新規開拓営業

本社所在地

URL

谷本 敦彦 氏
谷本 敦彦 氏
法人事業部長
大井 政英 氏
大井 政英 氏
法人事業部事業企画室長

地図でモチベーションをつくる

─法人事業部の取組みについて教えてください。

谷本氏:自動車の販売というのは一般的にはカーディーラーで行っています。お客様にショールームにきて頂いて販売する形です。ところが、ビジネスでの利用など、お店に来ないお客様もいらっしゃいます。そういったお客様に車を購入して頂くには、店舗に頼らない販売方法が必要で、こちらから会いに行くことでお客様の情報やニーズを掴み、的確な提案を行うことが重要になります。
もちろん、やみくもに訪問しても糸口は掴めません。私たちはまずは福祉・介護施設に力点を置いて営業の強化を始めました。こうした施設にはいくつかの特徴があります。一つはそこで使われている車の数が多いこと、もう一つは事業規模が比較的小さいこと、さらに事業規模の小さい施設が多く点在していることから営業の効率があまりよくないことです。それゆえにこれまであまり手がついてこなかったわけですが、逆に考えれば効率よく営業活動を展開できればビジネスになるということです。

─UPWARDを導入後、定着化へ向けてまずどのような取組みをされましたか。

谷本氏:最初は新規開拓ができるのか、私自身でやってみました。住宅地図を壁に貼って、営業先を書いていくことで整理しました。そこで気づいたのは、やり方次第で十分にできるということ、そして大きなマーケットとしての手応えがあるということです。問題はそれをどうやって人にやらせるのか、どういう仕組みを作るのかという点でした。カギはICTの力を使えば効率を上げることはできるということ、そしてそこには地図が必要ということでした。
新規開拓営業ではモチベーションをどうやってつくるのかも重要になります。その点でも地図を使うのが効果的でした。

大井氏:UPWARDで地図上に訪問先が白い〇で表示されていて、訪問後はそこに色が入る。商談が生じたら色が変わる。さらに契約に至るとまた色が変わる。そうやって自分たちの通ったところが地図上で可視化されていきます。

谷本氏:私たちはこれを「砂漠の緑化」だと思っています。それで営業のモチベーションが生まれます。また、お客様と会う時間を増やすためにはどのような営業ルートであれば効率がいいのかを考えることにもなります。活動履歴を地図上で見ると、活動のロスが分かります。そこを「なぜ」と合理的に考えていく。根性論でなく、無理をせずにたくさんのお客様へ営業できるように改善することが本質です。

(UPWARDによるお客様先の表示。当初白〇で表示されていたお客様に訪問、商談、受注と段階に応じて色がついていく「砂漠の緑化」で現場のモチベーションが向上)

「再現すること」がゴール

─現場でUPWARDはどのように使われていますか。

谷本氏:営業の現場ではありがちなのですが、その都度その都度活動記録をつけるようなやり方があります。しかしこの方法は長続きしない。現場にモチベーションが働くはずがない。入力も面倒ですし、マネージャーもその都度入力されたレポートに対して反応するはずがない。さらに現場のことを分かっていないマネージャーの書き込みに営業マンが共感するはずがないわけです。それではせっかく入れたレポートも死蔵されてしまう。ICTの力は、地図を使って現場のやりがいをその場で見えるようにできること。これは現場を本当に勇気づけます。
今回私たちが工夫した点は、入力はすべてスマホで音声入力できるようにしたことです。これならば訪問が終わって車に乗るまでの間に入力が可能です。そして現場へのインセンティブとして日報を廃止しました。また、マネージャーもこの活動を経験した者に限定しました。現場を知っている者であれば現場の人間の悩みの少し先が見える。また現場の人間が納得しやすいという面もあります。
また、私たちは毎朝Web会議をやっているのですが、その際に前日入力したことの確認をしていきます。確認をすることで他の人と動きと比べながら整理される。いわばバーチャルとリアルを組み合わせることで効果を見出そうということです。その成果を組み合わせながら「こういう言い方をすることでお客様に伝わる」ということを一つ一つマニュアル化していきます。その効果は大きいと思っています。
実際のところ、好事例というのは簡単には横展開ができないんです。やり方を聞いて分かった気にはなっても、実際には同じ結果にならない。再現しようとすれば、同じ枠組みの中で共有するしかない。地図には「なぜこの人は1日15件も無理なく回ることができるのか」を客観的に示してくれる効力があります。私たちのゴールは「再現」です。誰がどこでやっても同じ結果を出せるようにしなければならない。そのために地図が必要だと思っています。 

─営業部門はどのような体制で動いていますか。

谷本氏:車の場合は販売会社(ディーラー)制度で、府県をテリトリーとして縦割りになっているのが一般的です。一方私たちの活動は横軸でやっています。今は福祉介護をターゲットとしてやっていますが、このジャンルについては、異なる地域・販売会社であっても横でつながって同じ仕組みで動いています。時々刻々とUPWARDで繋がっていることはもちろん、毎朝の会議でも繋がっていますし、さらに週に1回長めの会議をするのですが、そこでも繋がっています。バーチャルとリアルを使い分けながら仕組みを共有する形です。

─営業担当者同士でエリアの(お客様の)奪い合いにはなりませんか。

谷本氏:私たちのやり方は個人の手柄よりも、チームとして台数を売るという方針です。もちろんある程度それぞれの活動計画やテリトリーもありますが、基本的には誰が行っても同じようにそのお客様のことを理解していて、スムーズに受け継げるような横連携がしっかりできていることが大事です。そこにもUPWARDを使う意義があります。

─実際にUPWARDの導入効果はいかがですか。

谷本氏:まずこういった営業管理の仕組みというのは続かないと思われがちですが、現時点で一人の落伍者も出さずに続いています。また誰がどこでやっても同じようにできるという再現性も高い。私たちは販売店に対して17日間一緒にやってみせることで効果を測っています。

大井氏:多くの人が、最初は訪問営業で車が売れるとは信じていません。しかし「砂漠の緑化」を見せることで、できることを分かってもらえるようになりました。

(UPWARD による活動履歴の表示)

営業マンが自ら「やりたい!」と手を挙げてくれる組織でありたい

─お客様にお会いして、初めて分かることもありますか。

谷本氏:お客様のことを分からないといい提案はできないです。何に困っているのか、お客様が誰なのかを再認識することにもなります。例えば、福祉介護施設には経営者だけでなく、従業員もいれば施設の利用者もいます。単純にお金を出して頂ける人(経営者)だけを分かればいいのではなく、それぞれの目線での悩みを知っておくことがいい提案につながりますし、それが最終的には経営者にとってもプラスになります。これは直接お話しすることでしか分からないことです。

─今後の展望についてお聞かせください。

谷本氏:私たちは「店舗に行く理由がない」お客さんがいるということを認識しなければなりません。これまで販売の現場はショールームでした。しかし本来はお客様が車を使っている場所こそが現場なんだと思います。お客様の事情を把握して、さまざまな切り口の提案を持って、こちらから開拓していくことが大事です。このやり方は非効率なので今まで採算性が悪かったわけですが、ICTで日が当たるようになった。会いに行くことでお客様が何に期待をしているのかを考えてこそいい提案ができる。そういう意味ではこれから店舗や販売のあり方も変わってくると思います。
また、地図については効率を上げること以上に、モチベーションを与えるために利用したいです。地図を見ることで考えてもらうことが大事です。考えないと面白味も出ません。
マネージャーが決めて人を動かすのではなく、インセンティブを与えて、自然に「やった方が得だ」という気持ちにさせるためにUPWARDを使っていきたい。それを続けることで、自ら「やりたい!」と手を挙げてくれるような組織でありたいと思います。

UPWARD導入事例集

資料の画像
PDF 42ページ