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インタビュー

世代交代のピンチをチャンスに。「知の共有」でチーム全体の生産性を高め売上向上に挑む

企業名

株式会社木谷仏壇

業種

製造

企業規模

~300名

課題

人材育成・ノウハウ共有
脱属人化・再現性UP
報告作業の時間削減
社内のデータ連携強化
訪問スケジュールの最適化

活用分野

見込み顧客への訪問、既存のお客様・寺院への定期訪問

本社所在地

〒763-0071 香川県丸亀市田村町1268

URL

岡本 康歳 氏
岡本 康歳 氏
代表取締役社長

ベテラン社員の「知」を次の世代へ共有する

ー貴社の営業活動について教えてください。

木谷仏壇は天明元年(1781年)創業、『総本山 善通寺』様御用達、伝統ある老舗の仏壇屋です。「信用第一」をモットーに、香川県善通寺市の自社工場にて製造した品質の高いお仏壇を、お求めやすい価格でご提供しております。
香川県・愛媛県に7店舗を構えており、営業社員は24名在籍しています。店舗での小売業のほか、並行してお客様宅や寺院へ訪問しての営業活動も積極的に行なっています。  

木谷仏壇様ホームページ

これらの営業活動について、これまではベテランの社員が活躍して売り上げを作ってきてくれました。しかし、5~10年後に彼らの定年が近づいており、次の世代への引き継ぎ、いわゆる世代交代というものが重要になってきています。
顧客情報や特性、今後のアプローチ方法・営業計画など、すべてがベテラン社員の頭の中に入っていて、ヒアリングすれば共有はしてもらえるものの、逆に聞かないと、そのまま眠った情報になってしまっています。
そこで、過去の情報を目に見える形で共有するために、2019年にSalesforceを導入し、蓄積してきた知識と知恵を全てデータとして残す取り組みを行ないました。

Salesforceを導入されたとき、定着化のために工夫された点などはありますか。

「知の共有」というキーワードで、ベテラン社員が持っている「知識」と「知恵」を共有してほしい、とお願いしました。最初は私から支店の店長向けにホワイトボードにこのキーワードを書きながら説明して、その後も都度説明の機会を設けて訴求していきました。
最初のうちは、特にこれまで頭の中や手帳でお客様の情報を管理していた社員を中心に、抵抗や「面倒くさい」という意見もありました。50代社員の活動データを店長が代わりに全て打っていた、なんてこともありました。
しかし、Salesforceへの入力によってどのような成果が得られるか、というのをダッシュボードやレポートを使って実際に見せてみて、「絶対に効率が上がるから」「部下の活動がこういう風に見える化するから」と、責任者の方から根気強く説得してもらううちに、段々と効果や営業のやりやすさというものが見えてきて、自発的に入力してもらえるようになっていきました。

また大きかったのは、同じ部署で横に座っている社員が一緒に教え合ってくれる環境だった、という点かと思います。やはり1回説明を聞いて1回で覚えられるものではないので、若い営業社員と50代、60代のベテラン社員が、同じ画面を見て格闘しながら入力してくれる。そうした横のつながりもあり、比較的ITに明るくない世代の社員に関しても、問題なくSalesforceを扱ってくれるようになりました。  

「点」の営業から「面」の営業へ

Salesforceへの入力が無事定着化して、活動が見える化してみると、今度は次の課題が出てきました。営業には寺院様への定期訪問なども含めて月200件は面談してほしい、と伝えているのですが、その数字が達成できていない社員の活動履歴を見たところ、「面」ではなく「点」で動いてしまっていることが分かりました。
具体的には、上司から「ここへ行くように」と指示され、顧客や見込み顧客へ訪問しに行くものの、その訪問が終わった瞬間に「次の訪問先へ行かなくては」と意識が向いてしまい、結果的に上司から指示があった場所のみを非効率的に回ることになり、移動時間や移動距離が長くなっている、というような傾向が見えてきました。
また、Salesforceで訪問結果の報告をする際、必ず「次回の訪問予定日」を入れてもらうようにしていたのですが、このスケジュールもほとんど消化されず、どんどんタスクとして溜まっていってしまいました。どうしても個人の頭の中で考えて、記憶と資料を見返す、というだけでは抜け漏れが出てしまい、「継続的にこのスパンでフォローしよう」「毎月1回はここへ訪問しよう」といった計画性のある営業というのは苦手だった、という側面が見えてきました。
そこで2021年からUPWARDを導入し、「点」の営業から「面」の営業へと切り替えていこう、というのが現在まさに取り組んでいることです。

(UPWARDで地図上に顧客情報を可視化し、営業の効率化を図る。)  

UPWARDの具体的な活用方法を教えてください。

Salesforceの「リード」を管理することで、どこに行かなくてはいけないかがレポートで分かるようになります。上司から指示されたリードと、自分で訪問予定日を立てたリードをリスト化し、それらをUPWARDの機能を使って地図上にピン立てします。
ピンを選択して訪問先を決めることで、UPWARD上で現実的な訪問ルートも組んでくれるので、その通りに訪問することで、効率的な営業というのを実現できるかなと考えています。また、地図で顧客が表示されれば、実際に現地に行ったときに時間ができたから近隣の顧客も回ろうかな、という「ついで訪問」も実現できます。
営業車に戻ってスマートフォンからすぐに訪問結果も報告できるので、2、3分で報告完了できる点も大きいですね。店舗に戻ってPCから入力することもあるものの、訪問数が多くて1件1件の詳細を忘れてしまっていることも多いので、やはり現地で一度スマートフォンだけで完結できるところが非常に良いなと感じています。  

ー現在まだ導入されて間もないと思いますが、現時点でのUPWARDの使い勝手はいかがでしょうか。

残念ながらまだ全員が100%有効活用できているわけではないのですが、使ってくれている社員の話では「予定が自動的に組まれるから、ちゃんと訪問しないと、という意識になる。訪問数が上がったうえ、報告もパパっとできる。更に次の訪問先へ、とスピーディーに動けるので、店舗に戻った時の日報作成がすごく簡単になった。」ということを聞いています。

属人化した「個」の営業から、一体感のある「チーム」の営業へ  

ーSalesforce、UPWARDの導入を通じて効果が出始めているところはありますか。

営業会議などで、お互いに困っていることをアドバイスし合うときの状況説明が非常にスムーズになりました。これまでは口頭での共有のみだったものが、活動に基づいたデータが記録されているので、Salesforceの画面共有をして、時系列に沿った過去の活動内容をみんなで見ながら話し合うことができるようになりました。また、事前に情報を共有した状態で訪問できるので、お客様への提案の質も上がりました。
ベテラン社員はこれまで、一人で考えて一人で動いて…ということが得意でしたが、今後の世代交代でチームプレーの営業スタイルに変わるかな、と考えています。みんなで協力して、協力関係を高めていって、全員で達成していく、という方が、若い世代の性格的にも合っていそうです。「知の共有」を通じて、今後も一体感、協力感を出していければと思います。

経営者という目線でお話しすると、私自身が一番感じているメリットとしては、「末端社員まで動きが見えるようになった」という点です。やはり、一人の人間が管理できる営業マンの数には限界があります。私はあくまで店長をマネジメントして、店長が各営業マンをマネジメントする、というスタイルですが、これまでは店長からの言葉でしか現場の営業マンの活動の把握をできていませんでした。  
しかしUPWARDで活動データをSalesforceに溜められるようになったことによって、私自身が直接“生の”活動の内容を見ながらアドバイスできるようになったのは、とても嬉しいです。

(オンラインでインタビューに応じる岡本社長)

やはり、現場の活動を見ていると、成果を上げている営業社員というのはきちんとお客様をフォローしています。よく「白鳥は湖の上から見ると優雅に泳いでいるように見えるが、水面下では激しく脚を動かしている」なんて表現がありますが、まさにその通りで、トップ営業マンは楽に鮮やかに売っているように見せかけて、裏ではものすごく努力しています。そうした活動が見えるようになったこと、“生の”活動をもとにマネジメントできるようになったこと、これらが非常に良かったと感じている点ですね。

ー今後の営業組織についての展望を教えてください。

私たちのような会社の営業って、これからリソースが増えることはあまりないと思います。そんな中で、高い能力を持った個人に依存した営業スタイルでは永続性がないかな、と。
Salesforceでベテラン社員の「知の共有」を行なう。そのあと営業活動の見える化で見えた非効率な部分をUPWARDで効率化して、「点」の営業から「面」の営業へと変えていく。まずはそこから始めて、よりチーム全体での生産性を高めて売上向上に繋げていければと考えています。

UPWARD導入事例集

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PDF 42ページ