―まずは貴社の事業内容と、これまでの課題を教えてください。
石坂氏:
当社のメインビジネスは、プリンター用インクカートリッジのリサイクルカートリッジの製造販売です。山梨県南アルプス市に工場を持ち、メイドインジャパン品質の製品を提供しています。生産から販売まで国内だけで完結するため、市場ニーズに応えた製品をスピーディーに提供できる点が当社の強みです。
また、札幌、仙台、新潟、東京、名古屋、大阪、福岡、沖縄に営業拠点を設置しており、営業部員はホームセンターやスーパー、家電量販店など全国8,000店舗の顧客を訪問するだけでなく、ラウンダー(※)としても活躍しています。
※ラウンダーとは、自社製品の陳列状況やディスプレイなどのアドバイスをする「棚づくり」をはじめ、POPや什器などの作成・設置など、店頭プロモーション全般を担うスタッフのこと。
当社の課題は、情報を共有するプラットフォームがなかったこと。そのため、営業部員が作成した日報を営業管理課のメンバーが手作業でまとめ直すというような作業が発生していました。また、店頭プロモーションの情報共有も困難でした。個々の営業部員はExcelやLINEなどを使い情報共有を試みていたのですが、それらは一過性でナレッジとしては残りません。結果として営業部員の活動が属人化してしまい、なかなかお客様に紐づいたデータが残っておらず、引き継ぎの際も一番の問題点として挙がっていました。
―UPWARD導入の経緯を教えてください。
石坂氏:
まず営業活動を共有するプラットフォームの構築を検討しました。情報共有基盤として、グループウェアを導入してみたのですが、なかなか定着しませんでした。
使い方が分からないスタッフや、パソコンでの入力に拒否感があるベテランスタッフなどに対し、教育を徹底して使用を促すことができなかったのと、推進するコアメンバーがいなかったこともあり、結果として使われなくなってしまったんです。
その反省から、営業本部営業管理課主任のタンと塩島をコアメンバーとし、営業部員全員が活用できる、使い勝手のいい情報共有基盤を探すことにしました。
タン氏:
営業活動を共有するプラットフォームがあればと思い、展示会などに通い情報を収集しました。よさそうなソリューションを見つけては、各社に問い合わせるなどしてソリューションの検討を行い、導入を決めたのが顧客管理サービス(CRM)の「Salesforce」と、営業活動支援ツール「UPWARD」です。
―実際にUPWARD導入後に感じられている効果は何ですか。
タン氏:
定着させるため、紙での管理を禁止したり、営業会議や勉強会などを実施して浸透を図ってきましたが、その活動が実を結び、「UPWARDを使えば、活動報告が楽になり報告時間が短縮する」ということを実感する営業部員が増えていきました。そうして、属人化していた営業活動から脱却できました。
石坂氏:
定着化に向けては推進チームを作り、知恵を使っていろいろな施策を実施しました。ログイン回数がどうなっているか調べたり、誰が良い投稿をしているかを発表したり、いい効果を共有していきました。同時に、使わなければいけないという雰囲気を作り出していくところはトップダウンで実施したのが、定着化に向けては良かったところでした。
定着したなと思ったのは、言わずとも情報がどんどん流れていくようになったのと、UPWARDを使ってこういうことをやっているという言葉が自然に出てくるようになったところ。定着して使い慣れていく中で売上も上がってきました。
タン氏:
また、UPWARDで報告した活動情報を自動で社内SNSに投稿できる仕組みを構築したことで、現場での店頭プロモーション写真をはじめ、営業活動情報を全国の営業部員にリアルタイムに共有することができるようになりました。現場で分からないことがあっても、すぐに問い合わせられることから、リアルタイムに上司や同僚からアドバイスができるようになっています。
石坂氏:
社内SNSで売場の写真や提案の仕方をリアルタイムで上げてもらうことで、成功事例を横につなげていくという施策は、非常に効果が出ています。良い売場を作ると見せたいと思いますよね。「いいね」や絵文字を付けると見てくれているという意識付けになるので、効果が出ていると思います。私自身も「いいね」をめちゃくちゃつけます(笑)
石坂氏:
地図上からお客様を検索できるのは非常に便利です。これまでは、ホームセンターA社、家電量販店B社など、お客様グループごとにリストを作成し、営業を展開してきました。そのため、ホームセンターA社と家電量販店B社が隣接しているような地域でも別々の営業部員が対応していたのです。UPWARDを使えば、こういった問題もすぐに解決できます。
タン氏:
またUPWARDは、しばらく活動履歴のない顧客や優良顧客など、最優先でアプローチすべき顧客情報を地図上で可視化してくれます。現在地からお客様先までの移動ルートや手段をナビゲーションしたり、現在地付近の顧客情報を検索する機能も備わっている。これらを活用することによって、営業活動の効率化や生産性向上が促進されました。
こうしたことが功を奏し、UPWARD導入後、営業件数が確実に増えています。
石坂氏:
UPWARDを使い始めてからは、各々で決めるのではなく、マネージャーと担当営業が共通認識を持った上で、計画的に営業活動ができるようになりました。エリアと人によって多少なり違いはあるものの、1日1~2件は各営業マンで訪問件数が増えているので、月に20日間稼働とすると40~50件レベルで変わってきます。結果的に売上アップにつながっていて、効果が目に見えて出てきています。
―UPWARDは営業の効率化だけでなく、企業成長にも寄与できていますか。
石坂氏:
売上が毎年2桁成長しています。営業件数が増加したことに加え、効果があった店頭プロモーションを他の店舗で展開することが容易になったためでしょう。
また、効果が出ているお客様からの信頼も獲得できています。なかには、他社製品も含めた「棚づくり」まで任される営業部員も登場し始めています。棚全体を任せてもらえると、提案のランクが一つ上がります。これは当社にとっても非常に大きい効果です。
タン氏:
UPWARDの情報は社内SNSで共有されるため、スタッフ同士のコミュニケーションが活発になり、遠方のスタッフとも“横のつながり”を築くことができました。営業部全体のモチベーションアップにも繋がっており、非常にいいサイクルができあがったと思います。またコミュニケーションが活発になったためか、離職率もずっと2ケタ台だったのが、1ケタ台前半まで大幅に下がっています。これもUPWARDの効果の一つだと思います。
石坂氏:
現場の活動やお客様との接点が増えることで、販売パートナーからの意見もどんどん吸い上げてくるので、意外な効果も出ています。例えばコロナ禍でアルコール消毒液が売れているという話が営業マンから出てきて、それを弊社で開発しようということで新製品が生まれました。営業活動を通して現場の声を拾うことで、製品のアップデートができています。
―今後の展望についてお聞かせください。
石坂氏:
営業活動を通して蓄積できたデータを分析し、ダッシュボードやレポートを充実させて、更なる売上UPを図っていきたい。また、今の使い方をさらに強化していくのに加え、BtoBの市場をまだまだ取り込めていないところがあるので、今後はもっとBtoBの直販をやっていって、さらにUPWARDを活用してBtoBの開拓、新規事業も含めて今後は立ち上げていきたいと考えています。
また、今はUPWARDを営業部隊だけが使っていますが、その効果の高さは実証済みです。今後は本社まで広げ、業務や生産現場、品質管理、コールセンターなどと紐付けて情報を一元管理できればと考えています。
こうすることで、クレームに関する情報を営業部員が後追いする、という環境も作ることができるようになる。情報共有基盤を構築することで、当社の強みを更に強化することに繋がると期待しています。
UPWARDのお客様がどのように課題を解決されたのかが分かる「10の事例」をご紹介します